アベクマ®について

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アベクマ®の治療では、遺伝子改変により攻撃力を高めたT細胞を使用します

アベクマ®の治療は、多発性骨髄腫に対するこれまでの治療で十分な効果が得られなかった、あるいはこれまでの治療後に再発がみられた患者さんに対するカーティーCAR T細胞療法です

CAR T細胞療法とは、患者さんの血液から取り出したT細胞に遺伝子改変によりCAR(キメラ抗原受容体)を発現させた「CAR T細胞」を用いる治療法です。CAR T細胞表面のCARが、がん細胞の抗原に結合し、がん細胞を攻撃します。

*遺伝子導入技術により、別の遺伝子を導入することをいいます。

CAR:chimeric antigen receptor 

※アベクマ®の【効能、効果又は性能】
再発又は難治性の多発性骨髄腫。ただし、以下のいずれも満たす場合に限る。

BCMA抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がない

免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む2つ以上の前治療歴を有し、かつ、直近の前治療に対して病勢進行が認められた又は治療後に再発した

患者さんの血液から白血球を取り出し、T細胞にCAR遺伝子を導入します

アベクマ®によるCAR T細胞療法では、患者さんの血液から白血球を取り出し、多発性骨髄腫のがん細胞表面にあるBCMAという抗原に結合するCARの遺伝子を導入し、T細胞にCARを発現させます。そして、CARを発現したT細胞(CAR T細胞;アベクマ®)を培養して数を増やし、がん細胞を攻撃するようにしてから、再び患者さんの体内に戻します。

*遺伝子導入技術により、T細胞にCAR遺伝子を導入します。

アベクマ®の構造

CARを発現したT細胞であるアベクマ®の構造を示します。

(イメージ図)

アベクマ®の表面に発現したCARは、多発性骨髄腫のがん細胞表面にあるBCMAに結合する部位()と、CAR T細胞を活性化し、増やす信号を発信する部位()で構成されています。

アベクマ®の作用

患者さんに投与されたアベクマ®は、体内で多発性骨髄腫のがん細胞表面にあるBCMAに結合します。

アベクマ®は、がん細胞表面のBCMAに結合すると、タンパク質を放出してがん細胞を攻撃し、取り除くとともに、自らは分裂して増殖します。このように体の中に残って増えることができるため、1回の投与のみで、がん細胞の攻撃を続けることができます。

(イメージ図)

アベクマの投与 CAR T細胞ががん細胞上のBCMAに結合する がん細胞を攻撃する一方で、CAR T細胞は増殖を繰り返す 増殖したCAR T細胞はがん細胞に結合し、攻撃する

アベクマ®の治療対象となる患者さん

下記に該当する患者さんのうち、主治医が病状などを総合的に考え、アベクマ®による治療が適切と判断した患者さんが対象となります。なお、過去にBCMAを標的としたCAR T細胞療法を受けた患者さんは、アベクマ®の治療を受けることができません。

多発性骨髄腫の患者さんで、これまでに免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む 2つ以上の治療を受け、十分な効果が得られなかった、または再発がみられた患者さん

アベクマ®の治療に際して注意が必要な患者さん

下記の項目に該当する方は、アベクマ®の治療に際して注意が必要になることや、アベクマ®の治療を受けられないことがあります。これらの項目に該当する方は主治医と相談してください。

アベクマに含まれる成分に対して、過敏症(アレルギーなどの症状)があらわれたことのある患者さん ■感染症にかかっている患者さん ■ B型またはC型肝炎のウイルスキャリア、B型またはC型肝炎に過去に感染したことがある、または現在感染している患者さん、HIVに感染している患者さん ■妊娠している、または妊娠している可能性のある患者さん ■ 授乳中の患者さん ■以前に行われた薬物療法により強い副作用が続いている患者さん、活動性の感染症や炎症性の病気がある患者さん

2025年8月作成
2012-JP-250009118